キャットストリート(渋谷区/原宿)の結果 日にち:8/18(水) 測定時間(打ち水開始時刻):11:00〜14:00(12:00) 打ち水した水の量:1100リットル(但し、原宿通りとの合計) 最大温度変化:約2.9℃ 結果 : 成功! コメント:打ち水の効果1時間程度持続、湿度は10%程度上昇
測定を行った8月18日(水)、は前日の夜から雨で前日から当日の朝方にかけ、降水量は2.5〜4mmという大雨でしたが、奇跡的に雨は止みました。その結果、アメダスの東京でのデータによると平均気温30.3℃(最高気温35.1℃)という、まさに打ち水日和という状況となったのです。 キャットストリートは、路面が舗装されており、店舗が並ぶ商店街です。
3.結果と考察
生データ、すなわち測定担当者が温度計(地上から150cmの高さに設置したデジタル湿温計を読み取ったデータ)をそのままプロットした図を以下に示します。ここで、打ち水「あり」と「なし」とは「打ち水をした地点」「打ち水しない地点」のことをいいます。また両測定地点の距離は数mとなっています。
図1 測定ポイントN0.1:キャットストリート [上図:(a)温度/下図:(b)湿度 <生データ>]
「打ち水なし」の測定は、環境温度・湿度の基準とするために用意したものでした。しかしこの結果のように、打ち水をする以前から差が出てしまっています。温度計の問題、微妙な環境の違いなど、幾つか理由が考えられますが、今後の課題といえるでしょう。 そのため、両者の温度の差を補正する作業が必要となりました。打ち水開始が12時ちょうどですので、その一つ前のデータである11時50分を基準としてみます(図2)。縦軸の目盛りは、打ち水の「あり」「なし」それぞれについて、11時50分の値を基準としたものです。
図2 測定ポイントN0.1:キャットストリート [上図:(a)温度/下図:(b)湿度 <補正後>]
どうですか、今度は何か見えてきたと思います。 まず図2(a)の温度変化を見てみましょう。11時から12時までの間、徐々に温度が上がってきています。これは純粋に日射量の上昇によるものでしょう。多少の温度のばらつきは、時々刻々と変化する環境の温度を、わずか10分に1回のタイミングで測るという状況に起因するものと思われます。 打ち水後の12時10分のデータは、一見「打ち水なし」の方が温度が高いように見えますが、誤差の範囲と思います。そしてその後、急激に両者に差が現れました。「打ち水なし」の場合はほとんど変化がないので、この「打ち水あり」の結果は、環境温度の変化ではなく、純粋に打ち水の効果であるといえるでしょう。実際、湿度がほぼ同様のタイミングで増加していることからもそれがいえると思います。 さて、差がもっとも大きい12時40分についてですが、この差はおよそ0.08です。これは、温度に換算し直すと、図1(a)の「打ち水なし」の11時50分の値である36度を利用した場合、36℃×0.08=2.9℃であるという結果となりました。 なお参考までに、図3に3点平均の結果を示します。これは、隣り合う3つのデータの平均をプロットするもので、ばらつきの大きいデータから傾向を読み取る手法です。これにより、先に示した打ち水の効果がはっきりと分かると思います。
図3 測定ポイントN0.1:キャットストリート [上図:(a)温度/下図:(b)湿度 <3点平均後>]
ところで「真っ昼間に打ち水しても、逆に湿度が上がって不快になるだけ」とのご意見を多数の方からいただいています。そこでこの件を検証するため体感測定アンケートを各イベント会場で実施。その結果、不快感を感じた人がほとんどいませんでした。イベントとしての楽しさがそれを忘れさせた、この日は風が強かった、などいろいろと理由はあると思います。乾球温度計と湿球温度計があれば不快指数を導出できたのですが、それも次回の宿題でしょう。いずれにせよ「湿度が上昇すると不快だから、絶対に昼間に打ち水をするな!」という意見には見直しが必要な気がしています。
さて、ここでいろいろと打ち水の測定結果について興味が出てきたと思います。「もっと違う環境ならどうなの?」「偶然成功しただけじゃないの?」などなど。 実は今、手元には他の地点での測定データがあります。それを見ると、これがまた一筋縄ではいかないものが(笑)...。